2009年6月11日木曜日

1月2日 午前10時

 きっと毎年のことだと思うが、人検には本当に時間がかかる。チームや車両ごとに時間が配分されているにも関わらず、人検会場には身動きができないほど人があふれていた。
 ライセンスなど各ブースで必要事項をチェックしてもらい、すべてのブースを回り右手首にコンペティター用のリストバンドをはめてもらうまでに3時間を要した。この黄色いリストバンドがコンペティターの証!これで正式にパリダカに参加する許可が下りたことになる。

 途中、篠塚健次郎氏に出会った。やはり、ヨーロッパでも彼の人気は高く、あちこちでサインを求められていた。氏との出会いは90年のオーストラリアンサファリだったが、その時から彼への印象は変わらない。王者なのに威圧的ではない。どこかとぼけているようで、それでいてきちんとした堅さを持っている。一歩引いているようで引いていない。そんな不思議な魅力のある人だ。今年こそ悲願の優勝を決めてもらいたいと強く思う。

 さて、今年はワークスチームのプロト廃止や、GPSの規制、前半戦と後半戦にまとめてもらっていたルートブックも前日に次の日の競技分しかもらえない、などの大幅なレギュレーションの改定があった。知ってはいたものの、受け取ったルートブックはA4からB5に縮小され、GPSポイントを得るための地図は削除されていた。コマ地図のところどころに書き込んである緯度経度は「何秒」の部分が記されていない。ということは、これによって確実に誤差が出るということだろう。資料として大まかなコースをご丁寧にも3ミリ幅で記したコース説明書なるものを頂いた。ドライバーが路面の様子を知るにはいいのだが、ミスコースを恐れるナビには何の足しにもならない。
 「全ての競技者に平等なコース」というオーガナイザーの配慮らしいが、私にとってはどうなんだろう?
不安が高まるが、顔になんて絶対に出せない。

 さっそく独りで部屋に閉じこもり、IGNの上に大まかなコースを辿っていった。気がつくと4時間がたっていた。それでもまだまだやることが残っている。作業初めに感じていた焦りはここまで来ると、なるようになれ!と開き直りに変わっていた。

 友川はというと・・・・。
彼女は人の3倍気が利く。それにすべてのことに対して彼女の持つエネルギーをフル稼働させているので、いつか神経がまいってしまう日が来るのではないかと心配になるくらいだ。私が4畳半くらいに広がったIGNと格闘している間中、
「あれしなきゃ、これもしなきゃ!」
と、部屋を出たり入ったりして常に動き回っていた。
 私はそういうときほど友川のやりたいようにさせておく。私にできることは、彼女が求めた時にその要求に100%完璧に応えることだ。変な気遣いは無用。
 
 作業をしながら去年の自分を思い出していた。
必要なことと、そうでないことの区別がつかなくなっていて、まったくバカバカしいミスを繰り返していたように思う。
 今年は「パリダカ」という言葉に頭でっかちにならないよう、うまく自分自身をコントロールしていきたいと思う。

 焦らなくていい。ゆっくりと集中していこう。

スタートまであと2日・・・。


*人権・・・レース車両に車検があるように、競技者にも様々なチェックがある

*プロト・・・とことん改造していいクラス

*IGN・・・・100万分の1の地図




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